ボジョレー移住後、ふたりはコート・ド・ブルイィの
名門シャトー・ティヴァンや、
ナチュラルワインの父と称されるジュール・ショヴェの
思想を引き継ぐジャック・ネオポールの
サポートを受けることとなった。
ジュール・ショヴェ(1907–1989)は、
野生酵母醗酵の重要性、
過剰な亜硫酸使用の抑制、
有機農法の推奨など、
自然なアプローチを科学的に裏付け、
現代ナチュラルワインの基礎を築いた人物である。
彼の思想は、ボジョレーのマルセル・ラピエールや
ジャン・フォワイヤール、
ジュラのピエール・オヴェルノワといった
ナチュラルワインのパイオニアたちに影響を与え、
今日の自然派ムーブメントの礎を作り上げた。
ヴァルマ夫妻はその哲学に深く共鳴し、
自らのワイン造りの中心に据えている。
ボジョレーは、ナチュラルワインの揺籃として
高い評価を受ける一方、
ボジョレー・ヌーボーに象徴される
早飲み・大量生産型ワインのイメージとの
ギャップに悩まされてきた。
しかし近年、テロワールを表現する
高品質ワインの重要性が再認識され、
新世代の造り手たちがその価値を
再構築している。
クリュ・ボジョレーの中でも華やかで
エレガントさが特徴のフルーリーでは、
ボジョレー初となるプルミエ・クリュ格付けの
制定を目指す動きが進行中で、
ローヌ農業会議所とボジョレーワイン委員会が
10年以上にわたり詳細な土壌調査と分析を実施。
2023年には48のリュー・ディのうち7つを
プルミエクリュとしてINAOに申請した。
ラ・マドンヌとラ・シャペル・デ・ボワ、ヴァルマが
所有するこの2区画も申請対象に含まれている。
ヴァルマはフルーリーに特化し、
多彩な土壌と標高差、斜面の方角がもたらす
個性をそのまま表現することを目指す。
醸造はセミ・マセラシオン・カルボニックで行い、
野生酵母を使用し、
セメントタンクや古樽を併用して
熟成させることで、ガメイの持つ
透明感ときめ細やかな質感を損なわない。
初ヴィンテージ2021年は、
レ・ラブロン由来の冷涼な酸と
赤系果実の瑞々しい香りが際立ち、
現地で高い評価を得た。
2022年からはラ・マドンヌやラ・シャペル・デ・ボワの
単一区画キュヴェも仕込み、
各区画のテロワールをさらに鮮明に
描き出す挑戦を続けている。
ドメーヌ・ヴァルマのワインは、
あくまでも土地が語る物語をそのままボトルに
映し出すことを目指している。
畑ではオーガニック栽培を実践し、
2022年には全区画で転換を開始。
2025年末の認証取得を予定している。
バイオインジケーター植物や
微細な土壌の変化に耳を澄ませ、
「畑が発する声」を捉えることに
重きを置いている。
醗酵は野生酵母、醸造は全房醗酵を基本とし、
セメントタンクや古樽での熟成を
組み合わせることで、
過度な抽出や木樽の風味に頼らない、
ガメイ本来の透明感と奥行きを引き出している。
2021年の初ヴィンテージでは、
北向き急斜面「レ・ラブロン」から生まれる
冷涼な酸と赤系果実の繊細な香りが印象的で、
現地でも高い評価を受けた。
翌年からは「ラ・マドンヌ」や
「ラ・シャペル・デ・ボワ」の
単一リュー・ディごとのキュヴェにも取り組み、
テロワールの違いをより立体的に
表現する挑戦を始めている。
ガメイという品種に対し、
軽やかさと複雑さの両立を目指すのが
ステファンとヴァランティーヌのスタイルだ。
「必要なのは、畑とブドウの声に耳を傾けることだけ。
私たちが主張しすぎる必要はない」と語る
彼らのアプローチは、ジュール・ショヴェの思想を
現代に引き継ぎながら、独自のエレガンスを備えた
新時代のボジョレーを体現している。
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